2020年 ベストオブ分売&ワーストオブ分売

2020年は87件の分売が実施され、コロナショックの影響もあり3年連続の減少でした。
ただそれでもリーマンショック後のように3ヶ月分売分売皆無ではなかっただけマシといえるでしょう。
当時よりも市場の回復は早く、資金需要があることもあってか株式の売却需要は衰えませんでした。

今年も従来通り主観が入らないよう機械的にランキングを発表します。
市況が不安定な時期の案件以外は今年も極端な地雷案件はなく安定の1年だったといえます。

利益額(損失額)×枚数(単元株数)の総額=総利益をベスト・ワースト分売の評価基準としています。
例年通り比較対象は分売日当日の始値ではなく終値で評価しています。

ベストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 5/26 7038 フロンティア・マネジメント 2,000 2,531 2,862 +33,100 +6,620
2位 10/14 7466 SPK 4,500 1,187 1,310 +12,300 +5,535
3位 11/27 4388 エーアイ 2,500 2,414 2,570 +15,600 +3,900
4位 11/24 3341 日本調剤 9,600 1,514 1,547 +3,300 +3,168
5位 3/31 7034 プロレド・パートナーズ 1,136 2,935 3,190 +25,500 +2,897
6位 8/4 6196 ストライク 1,000 4,545 4,780 +23,500 +2,350
7位 12/2 7466 SPK 2,639 1,211 1,290 +7,900 +2,085
8位 6/23 9273 コーア商事ホールディングス 2,531 1,987 2,069 +8,200 +2,075
9位 9/11 4435 カオナビ 3,000 4,947 5,010 +6,300 +1,890
10位 5/20 4440 ヴィッツ 2,000 1,339 1,427 +8,800 +1,760

今年のトップは去年の1億超の派手さはありませんが総利益6,000万円超でフロンティア・マネジメントとなりました。
寄りから前日終値プラスで寄り付き、引けにかけても続伸して3万円超の利益でした
分売数量もそこそこあったことでトータルでは第1位となりました。
しかし翌月の同数量の分売は一転して割れて始まるなど期待はずれでした。

第2位はSPK、割安株で売り込まれていたこともあって地味ながら堅調な利益でした。
それなりに枚数があったため重いかと思いきやバリュー株的な買い需要があって1万円超の利益でした。
さらに2回目についても第7位に入っているとおり上位に入っています。
どちらかといえば総合優勝は合計7,000万円超ということでこちらにしてもいいかなといった雰囲気です。

第3位はエーアイ、ただこれは寄りでは微益なことで賛否両論はあるでしょう。
貸借銘柄で安泰なはずが直近で分売中止が相次ぎ空売り不足で売り物に押されましたが、引けでは1.5万円まで伸びました。
ある程度売り込まれている銘柄は需給が微妙でも自然反発が狙えるようです。

第4位の日本調剤も枚数が多いため厳しいと思いきや意外と実需があったようです。
第5位のプロレド・パートナーズは売れ残った銘柄が突然再実施という例外案件でしたが意外な利益でした。
寄り前の板を見ていても寄り後の需給は読めなく例年より予測が難しい案件が増えている印象です。

ワーストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 6/24 4493 サイバーセキュリティクラウド 1,155 27,063 26,760 -30,300 -3,500
2位 4/21 3565 アセンテック 3,380 3,167 3,095 -7,200 -2,434
3位 2/14 4599 ステムリム 17,000 744 731 -1,300 -2,210
4位 2/26 6096 レアジョブ 3,500 2,085 2,029 -5,600 -1,960
5位 3/27 7034 プロレド・パートナーズ 3,000 3,343 3,285 -5,800 -1,740
6位 4/24 4446 Link-U 5,500 2,160 2,133 -2,700 -1,485
7位 6/26 4481 ベース 2,700 5,006 4,955 -5,100 -1,377
8位 2/21 3963 シンクロ・フード 13,400 418 410 -800 -1,072
9位 2/25 2925 ピックルスコーポレーション 3,000 2,400 2,370 -3,000 -900
10位 9/7 7059 コプロ・ホールディングス 2,300 2,954 2,921 -3,300 -759

2020年ワーストオブ分売は…総損失-3,500万円のサイバーセキュリティクラウドに決定!

データの正確な21世紀の分売の中でも1単元270万円は異色を放つ最大の案件となります。
値嵩株は警戒が必要という定説どころではなくもはや前例がほとんどありません。

2020年3月に上場して、90日間のロックアップの外れるまさにその日での分売実施と目的が明確です。
立会外分売という市場外で売却することで他のロックアップの外れる大株主を出し抜いて売り抜けができるわけです。

さすがに1枚この価格でロックアップ解除日に積極的に買いを入れる主体も少なく、分売価格を割り込みました。
ちなみに申込上限の買いを入れるに1億円弱。ここまで注文できた勇者はまずいないでしょう。

値嵩ながら当然とは思いつつも、1枚で3万円超の損失でトータルでは総損失トップとなりました。
こういったあからさまな大株主の売り抜け案件は手を出さないに限ります。

第2位はアセンテックの-2,400万円台で、コロナショックの最中に分売中止を発表して再実施をした曰く付き案件です。
さすがに前回が値決め日の前場ザラバ中に中止IRを発表しているようでは警戒されて当然です。
しかも発表日から上昇しての値決めで値ごろ感もなく、分売総額10億はさすがに捌ききれませんでした。

今年は特に分売中止が明らかに多く、そうなると売り方が萎縮するため後の分売が軟調となります。
市場の健全化のためにも多少の下落くらいでの分売中止は禁止してほしいものです。

第3位はバイオ株のステムリムで、総損失は2,200万円台になります。
寄りではなんとか値を保ったものの、17,000枚の売りに押されて陰線でほぼ安値引けとなりました。
分売発表日に再生誘導医学協働研究所開設のIRを出している点も分売を捌くためと勘ぐってしまいます。

全体としては市況が悪化したことも合って去年よりはやや損失案件が増えたように見受けられます。
それと無理な分売総額の案件が増えて、換金売りをどうしても急ぎたかった様子が読み取れます。
極端な地雷案件も少なかったですが、まともな案件とそうでない案件の見極めが大事になりそうです。

利益額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 5/26 7038 フロンティア・マネジメント 2,000 2,531 2,862 +33,100 +13.1%
2位 3/31 7034 プロレド・パートナーズ 1,136 2,935 3,190 +25,500 +8.7%
3位 8/4 6196 ストライク 1,000 4,545 4,780 +23,500 +5.2%
4位 11/27 4388 エーアイ 2,500 2,414 2,570 +15,600 +6.5%
5位 10/14 7466 SPK 4,500 1,187 1,310 +12,300 +10.4%
6位 7/21 4440 ヴィッツ 1,600 2,129 2,219 +9,000 +4.2%
7位 5/28 7059 コプロ・ホールディングス 1,661 2,069 2,157 +8,800 +4.3%
8位 5/20 4440 ヴィッツ 2,000 1,339 1,427 +8,800 +6.6%
9位 12/17 9066 日新 1,523 1,169 1,257 +8,800 +7.5%
10位 1/29 4429 リックソフト 1,400 6,267 6,350 +8,300 +1.3%

今年の利益額ランキングはほぼベスト部門の並び替えで顔ぶれは変わりません。
差異でいえば年末の日新も安定して結構な利益になってくれました。

全体的には分売枚数が1,000~2,000枚くらいのものが比較的鉄板案件になるようです。
このあたりの値幅と獲得しやすさが程々の案件を狙っていきたいところです。

分売参加者が増加したことで売り物が増加して寄りでは微妙だったとしても案外引けで伸びるものもあります。
下抜けしなければ売りタイミングについては一考の余地があるでしょう。

損失額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 6/24 4493 サイバーセキュリティクラウド 1,155 27,063 26,760 -30,300 -1.1%
2位 4/21 3565 アセンテック 3,380 3,167 3,095 -7,200 -2.3%
3位 3/27 7034 プロレド・パートナーズ 3,000 3,343 3,285 -5,800 -1.7%
4位 2/26 6096 レアジョブ 3,500 2,085 2,029 -5,600 -2.7%
5位 6/26 4481 ベース 2,700 5,006 4,955 -5,100 -1.0%
6位 7/1 6560 エル・ティー・エス 1,400 2,749 2,700 -4,900 -1.8%
7位 9/7 7059 コプロ・ホールディングス 2,300 2,954 2,921 -3,300 -1.1%
8位 2/25 2925 ピックルスコーポレーション 3,000 2,400 2,370 -3,000 -1.2%
9位 6/25 4428 シノプス 1,200 2,059 2,031 -2,800 -1.4%
10位 4/24 4446 Link-U 5,500 2,160 2,133 -2,700 -1.2%

さて、やはり第1位・第2位は相変わらずのため特に言及することはありません。
第3位のプロレド・パートナーズは前述の通り売れ残りにもかかわらず割り込んでいます。

第4位のレアジョブは寄りでは悪くなかったものの寄りまで値を下げて見切り時が大事でした。
第5位のベースはやはりこのくらいの値嵩株となると売り物が出やすいようです。

全体的にはコロナショックでの巻き込まれと市場参加者が少ないタイミングでは厳しかったようです。
しかしながら序盤での言及したとおり、総括として市場回復のおかげで悪くない1年だったにはないでしょうか。

分売業界としての大きな点は東証の市場再編に伴う上場基準の改正です。
特に東証1部(プライム市場)については流通株式時価総額要件の厳格化で上場できる新興市場が減っています。
逆に株主数は800名と大幅緩和されたことで従来のように分売実施企業は減少が見込まれます。

となると逆に残るのは前述の通り大株主の換金売り案件ばかりになるわけでして・・・
つまり換金売りが相対的に増えるということは実施するかどうか来年も大株主の機嫌とさじ加減に悩まされそうです。

今年も分売中止絡みの銘柄には胡散臭い値動きをする銘柄もいくつか見受けられました。
また寄り前の見せ板や値決め日の株価操縦など疑念が持たれてもおかしくないものも散見されます。
市場健全化のためにも証券取引等監視委員会など積極的に通報をしたいところです。

というわけで来年の分売投資も受難続きですが、年明けの第1号銘柄発表を楽しみに締めとしましょう。

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