2019年 ベストオブ分売&ワーストオブ分売

2019年は105件の分売が実施され、前半の株安も響いて2割減となりました。
今年も従来通り主観が入らないよう機械的にランキングを発表します。
年末にかけての堅調な相場推移もあり、ハズレの少ない安定した1年でした。

利益額(損失額)×枚数(単元株数)の総額=総利益をベスト・ワースト分売の評価基準としています。
例年通り比較対象は分売日当日の始値ではなく終値で評価しています。

ベストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 3/20 6046 リンクバル 9,700 905 1,060 +15,500 +15,035
2位 7/11 2471 エスプール 4,600 2,586 2,735 +14,900 +6,854
3位 11/28 3135 マーケットエンタープライズ 2,604 2,847 3,005 +15,800 +4,114
4位 12/24 9279 ギフト 1,500 4,152 4,425 +27,300 +4,095
5位 2/21 3826 システムインテグレータ 5,000 668 743 +7,500 +3,750
6位 11/25 3771 システムリサーチ 3,000 1,730 1,848 +11,800 +3,540
7位 10/24 4429 リックソフト 2,100 3,817 3,955 +13,800 +2,898
8位 1/29 2471 エスプール 7,890 1,567 1,598 +3,100 +2,446
9位 11/27 4442 バルテス 1,569 1,441 1,575 +13,400 +2,102
10位 11/20 7305 新家工業 2,821 1,372 1,445 +7,300 +2,059

今年のトップは2位以下をダブルスコアで引き離して参加者総利益1億超!
第1位は総利益1.5億円のリンクバルで、寄りではさほど利幅はなくとも引けでは1.5万円の利益となりました。
枚数も9,700枚とかなり多い案件でしたが、完売したにも関わらず堅調な株価推移でした。

第2位は割引率4%で大盤振る舞いだったエスプールで総利益は6,000万円台と次点に相応しい銘柄でした。
寄りで売っても8千円、引けまで引っ張れば1.5万円の利幅が確保でき、4,600枚の案件では上出来です。
やはり8位の直前の分売が6割も売れ残ったためか売却主が誠意を見せてくれたおかげです。
普段からこのような誠意ある売却主ばかりであればありがたいのですが・・・

第3位はマーケットエンタープライズ、第4位はギフトとほぼ同利益のためまとめて記載します。
敬遠される値嵩株で前評判もそれほどでしたが、どちらも引けでは1.5万円の利益となりました。
東証1部昇格目的と明確にしている分売は実需も入って堅調になりやすいようです。

その他は去年と比べても価格帯が低めの銘柄のランクインが多い印象です。
利幅がかなりあるわけでもない銘柄でもそれなりの利益に繋がる結果を残してくれました。

ワーストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 8/14 6027 弁護士ドットコム 2,000 4,133 4,015 -11,800 -2,360
2位 4/3 9279 ギフト 1,500 3,681 3,550 -13,100 -1,965
3位 11/22 3689 イグニス 7,200 953 931 -2,200 -1,584
4位 9/10 7820 ニホンフラッシュ 1,600 2,459 2,365 -9,400 -1,504
5位 5/31 6096 レアジョブ 1,800 1,697 1,622 -7,500 -1,350
6位 8/2 6194 アトラエ 2,300 2,438 2,388 -5,000 -1,150
7位 4/18 9418 USEN-NEXT HOLDINGS 15,000 812 806 -600 -900
8位 8/5 2656 ベクター 7,003 359 347 -1,200 -840
9位 5/24 3891 ニッポン高度紙工業 5,000 1,131 1,115 -1,600 -800
10位 8/28 6185 ソネット・メディア・ネットワークス 3,320 624 606 -1,800 -598

2019年ワーストオブ分売は…弁護士ドットコムに決定!

とはいえ損した方には失礼ながら参加者総損失-2,360万円はちょっと物足りません。
去年の三悪、セコム上信越、東京個別指導学院、カナミックネットワークのような明らかな『地雷』とは格落ちします。

それよりもこの銘柄の悪質な点は、直前の分売で過去10年ワースト3位の1.5%という渋い割引率で実施した点にあります。
その際は寄りでは割れた上にザラバ中安値では-1万円を記録しましたが上限50枚だったためか分売は完売しました。

それにも関わらず分売数量をさらに増やした上に同じく1.5%の割引率で実施とは舐められたものです。
その結果は寄りでは辛うじて分売価格を死守したものの、引けでは1枚-1.2万円の大損案件になりました。
売却主の策略に引っかかり、事前評価でケチな弁護士の入れ知恵と揶揄したとおりの結果となってしまいました。

このような悪質でふざけた案件を市場から追放するのに我々ができることは一切手出ししないこと、それだけです。
売れ残りで利益が出そうでも、その分売が完売してしまえば渋い割引率の案件が増えて中期的に損することになります。
中には前述のエスプールのようないい売却主もいますが、某学習塾のような思考の輩がいることは心に留めておきましょう。

第2位はというと、ベスト部門では4位のギフトがこちらにも入ってきてしまいました。
これは今年3回も分売をしているうちの初回の実施分になります。
参加者総損失は2,000万程度でそこまででもないですが、数字の上ではこのとおりです。

それほど事前評判も悪くなかったのですが、短期参加者が多かった結果売り物が出て寄りから大きく割れました。
明らかに微妙な案件では皆が警戒して売り物は減りますが、そうでないとこういう事も起こりえます。
経済用語で『合成の誤謬』がありますが、各自が最適な判断をすると全体最適でなくなるのは有名な話です。

第3位はイグニスで、総損失は1,500万円台になります。
辛うじて寄りでは手数料負けで済んだものの、後場にかけて売られ続け大陰線での引けとなりました。

全体の総論としては去年のワースト10全てが総損失4桁万円と比べると随分穏やかだと思います。
明らかな地雷案件が無いだけでなく、負けてもマイルドな額に収まっているのではないでしょうか。
特に年の後半にかけては市況が好調だったこともあり、大幅な負け銘柄はほとんどありません。

利益額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 12/24 9279 ギフト 1,500 4,152 4,425 +27,300 +6.6%
2位 7/5 9083 神姫バス 390 3,379 3,585 +20,600 +6.1%
3位 11/28 3135 マーケットエンタープライズ 2,604 2,847 3,005 +15,800 +5.5%
4位 3/20 6046 リンクバル 9,700 905 1,060 +15,500 +17.1%
5位 12/26 3559 ピーバンドットコム 1,250 1,592 1,743 +15,100 +9.5%
6位 7/11 2471 エスプール 4,600 2,586 2,735 +14,900 +5.8%
7位 10/24 4429 リックソフト 2,100 3,817 3,955 +13,800 +3.6%
8位 11/27 4442 バルテス 1,569 1,441 1,575 +13,400 +9.3%
9位 11/25 3771 システムリサーチ 3,000 1,730 1,848 +11,800 +6.8%
10位 8/21 7039 ブリッジインターナショナル 700 1,157 1,267 +11,000 +9.5%

1枚利益第1位は+2.7万円でぶっちぎりのギフトがランクインです。
去年の3,4万円の化け物級利益には及びませんが、クリスマス・イブにぴったりのギフトになってくれたことでしょう。

その他はベスト銘柄とも結構被っていますが、引けでは1万超え銘柄も多数ありました。
去年のような派手さは減りましたが、鉄板の小粒銘柄以外でも好調な銘柄が目立ちます。

値動きの激しい新興株は持ち越しづらい故に寄りで売りが消化されて堅調なのかもしれません。
期待値を考えると逆指値売りをセットした上で引っ張ってみるのも一考の余地があります。

損失額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 4/3 9279 ギフト 1,500 3,681 3,550 -13,100 -3.6%
2位 8/14 6027 弁護士ドットコム 2,000 4,133 4,015 -11,800 -2.9%
3位 9/10 7820 ニホンフラッシュ 1,600 2,459 2,365 -9,400 -3.8%
4位 5/31 6096 レアジョブ 1,800 1,697 1,622 -7,500 -4.4%
5位 8/2 6194 アトラエ 2,300 2,438 2,388 -5,000 -2.1%
6位 9/27 3180 ビューティガレージ 600 1,914 1,884 -3,000 -1.6%
7位 1/29 9265 ヤマシタヘルスケアホールディングス 800 1,158 1,129 -2,900 -2.5%
8位 8/22 1446 キャンディル 2,000 1,499 1,474 -2,500 -1.7%
9位 11/22 3689 イグニス 7,200 953 931 -2,200 -2.3%
10位 8/28 6185 ソネット・メディア・ネットワークス 3,320 624 606 -1,800 -2.9%

1枚損失でも前述のギフトと弁護士ドットコムが1万円損失クラスでツートップを飾っています。
第3位のニホンフラッシュも含めて寄りではそれほど酷くはないので割れ銘柄はさっさと切る勇気は必要です。

第5位のアトラエは貸借銘柄でそこそこ空売りが入っていたのに割れたのは想定外でした。
第7位のヤマシタヘルスケアは小粒にも関わらず前日出来高が少ないと流動性的に厳しかったようです。

その他全体的には新興市場の銘柄が比較的分売価格を割れるリスクがありました。

2018年末の暴落で株式市場は冷え込み、年明け2019年の分売案件もやや減りました。
しかしその後は市況も持ち直し、新興市場も回復したことで特に10月以降はリスクオフでイケイケ相場になりました。
当日の潜在的需要がそれまでと違ってどんどん湧いてくる状況で、微妙銘柄も堅調な展開が増えました。

値嵩の新興株でさえほぼなんとかなっている点を踏まえると、この市況が続くならば多少マイナス案件が発生しても期待値勝負で基本は参加方向でも問題ない雰囲気もしますが、いつまで分売の連勝記録は伸ばせるのでしょうか。
分売の参加方針も市場の雰囲気によって臨機応変に切り替えていきたいところです。

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