2018年 ベストオブ分売&ワーストオブ分売

2018年は128件の分売が実施され、過去10年では3番目の実施件数でした。
今年も例によって中の人の主観が一切入らない、機械的手法でランキングを発表します。
伝説の案件とかあったので半分は予想通りですが、振れ幅の大きい1年となりました。

利益額(損失額)×枚数(単元株数)の総額=総利益をベスト・ワースト分売の評価基準としています。
例年通り比較対象は分売日当日の始値ではなく終値で評価しています。

ベストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 4/24 6552 GameWith 8,000 1,362 1,504 +14,200 +11,360
2位 5/22 3168 黒谷 6,100 653 726 +7,300 +4,453
3位 3/6 6541 グレイステクノロジー 2,000 6,799 7,020 +22,100 +4,420
4位 8/31 3925 ダブルスタンダード 3,340 4,979 5,110 +13,100 +4,375
5位 5/31 3150 グリムス 1,100 2,948 3,280 +33,200 +3,652
6位 1/24 3452 ビーロット 1,230 2,610 2,880 +27,000 +3,321
7位 1/29 3547 串カツ田中 4,564 3,899 3,965 +6,600 +3,012
8位 8/27 3359 タイセイ 1,600 1,446 1,621 +17,500 +2,800
9位 5/24 4595 ミズホメディー 1,000 5,789 6,030 +24,100 +2,410
10位 2/23 3267 フィル・カンパニー 500 8,691 9,170 +47,900 +2,395

今年はなんと参加者総利益が大台1億円超えで2位にダブルスコアを付けてのトップです。
第1位は総利益1.1億円超のGameWithで、寄りで売っても4千円弱、引けまで我慢すれば1枚1.4万円の利益かつ8,000枚もあって複数配分も狙えた案件ではないでしょうか。
翌日まで引っ張れば2万円台の利益も狙えた案件で、大きく売り込まれた貸借銘柄は狙い目というお手本のような案件です。

第2位以下は僅差ですが僅かに黒谷が次点につけて2位で、値頃な株価帯の貸借銘柄は鉄板という定石通りの展開でした。
空売りが入りすぎていたためか寄りの株価は前日終値から窓を空けて上昇し、引けでは前日比+9%の大陽線となりました。
分売数量も6,100枚と比較的多く、まとまった利益につながりやすい案件となりました。

第3位はグレイステクノロジーで数字の上では参加者利益4,000万円台と文句はないですが、賛否の分かれる案件です。
というのも寄りでは割れており、売りが一巡した引けで高値となっているため全員が儲かったかは微妙な線です。
このあたりは評価方法次第でなんとでも順位は変わってくるため機械的評価の一手法ということでご理解ください。

その他にはややハイリスクな値嵩株案件も多くランクインしました。
値嵩株案件は値幅が大きいため敬遠される方も多いですが、数量が少ない等案件を選べば大きな利益も狙えます。

ワーストオブ分売

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 総利益(万)
1位 3/8 4342 セコム上信越 5,240 4,018 3,835 -18,300 -9,589
2位 3/15 4745 東京個別指導学院 21,526 1,127 1,091 -3,600 -7,749
3位 2/26 3939 カナミックネットワーク 4,000 4,559 4,390 -16,900 -6,760
4位 6/11 7959 オリバー 2,500 2,151 2,032 -11,900 -2,975
5位 11/28 6099 エラン 6,620 2,930 2,889 -4,100 -2,714
6位 11/14 2130 メンバーズ 5,131 1,066 1,017 -4,900 -2,514
7位 6/1 7531 清和中央ホールディングス 300 5,635 5,030 -60,500 -1,815
8位 12/21 7810 クロスフォー 7,210 309 289 -2,000 -1,442
9位 5/29 3925 ダブルスタンダード 3,340 3,371 3,330 -4,100 -1,369
10位 8/30 3962 チェンジ 3,358 3,739 3,700 -3,900 -1,310

2018年ワーストオブ分売は…セコム上信越に決定!
参加者総損失9,500万円規模と1億円近い大損案件となりました。

前日出来高1桁の状態から発行済株式の4%近い20億円分の分売を強行した結果、ご想像どおりの結果に。
割引率も表面上では2%と渋い上に、前日の売り気配が最終気配のため実質割引率は0%という酷さ。
当日引けの板を見ると、分売価格以上の買い板がなんと1枚しかありません・・・

当然これだけの買い需要皆無な流動性で分売を実施すれば需給悪化で投げ売り状態となります。
寄りから引けまで終始-2万円という損失水準のままで取引を終えました。

それにしてもこの分売、ほぼ売れ残りかと思いきや8割方は完売していることには驚かされます。
2018年前半戦はイケイケな分売案件が多かったためか、新参者の素人がある程度は増えたとしてもあからさまな地雷案件の分売が15億円分も売れるとは別の意味で驚かされました。

第2位はというと、またもや伝説の某学習塾がやってくれました。
ってあれ、このワード去年とまったく同じなんですけど・・・
こちらも参加者総損失7,000万円台となかなかの酷い水準です。

散々取り上げて知らぬものはいないほどの東京個別指導学院事件の尾をまだ引いています。
(年末にはまたこの銘柄で大事件がありましたが、それはまた別の機会に)

さすがに今回は3度目の実施とはなりますが、例の事件を忘れている人はいません。
未だに実施見送りを警戒して売り方が警戒して空売りが入らず、寄りではほぼ同値でした。
しかし空売りの買い戻しが一巡すると株価は下がり続け、終値では-3%と安値での引けとなりました。

さすがに分売日まで想定ほど株価が下がらなければ素直に実施してくるようです。
とはいえ、この分売も実は215万株のうち114万株程度しか売れていません。
もし全部売り切れていたら売り物が増えてどうなっていたでしょうか。

第3位はカナミックネットワークの総損失6,700万円超で、値嵩で18億円規模の分売の需給悪化で大幅安となりました。
やはり値嵩株で発行済株式に対して多すぎる分売は市場の重荷になるようです。

その他の銘柄もだいたい妥当な感じですが、値嵩の大量分売案件は要注意なことが改めてわかります。
特筆すべき部分としては従来は手堅い案件と見られていた貸借銘柄でも、市況の悪化しつつあった年末にかけてメンバーズやエランのように不調な例が目立ち始めています。
貸借銘柄でも絶対安心という状況ではなくなってきつつあることに注意が必要ですね。

利益額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 2/23 3267 フィル・カンパニー 500 8,691 9,170 +47,900 +5.5%
2位 5/31 3150 グリムス 1,100 2,948 3,280 +33,200 +11.3%
3位 1/24 3452 ビーロット 1,230 2,610 2,880 +27,000 +10.3%
4位 5/24 4595 ミズホメディー 1,000 5,789 6,030 +24,100 +4.2%
5位 3/6 6541 グレイステクノロジー 2,000 6,799 7,020 +22,100 +3.3%
6位 12/4 6563 みらいワークス 200 4,660 4,850 +19,000 +4.1%
7位 3/13 5923 高田機工 400 3,831 4,020 +18,900 +4.9%
8位 8/27 3359 タイセイ 1,600 1,446 1,621 +17,500 +12.1%
9位 4/24 6552 GameWith 8,000 1,362 1,504 +14,200 +10.4%
10位 5/25 3985 テモナ 600 3,596 3,735 +13,900 +3.9%

ベスト案件とも銘柄は被っていますが、評価軸が違うので必ずしも一致しません。

値嵩株でも枚数の少ない銘柄については数万抜きのプラチナチケットが埋もれているのがわかります。
もちろん配分の望みは低くても一発当てればなかなかの利益が狙えた案件もありました。

ただし前述の通り値嵩株には地雷案件も埋もれていることがあるので要注意を。
迷ったらとりあえず当日朝の気配を見てからの参加判断でも遅くはありません。

損失額ランキング

順位 日付 コード 銘柄名 分売数量 分売価格 当日終値 単元利益 利益率
1位 6/1 7531 清和中央ホールディングス 300 5,635 5,030 -60,500 -10.7%
2位 3/8 4342 セコム上信越 5,240 4,018 3,835 -18,300 -4.6%
3位 2/26 3939 カナミックネットワーク 4,000 4,559 4,390 -16,900 -3.7%
4位 6/11 7959 オリバー 2,500 2,151 2,032 -11,900 -5.5%
5位 12/6 2164 地域新聞社 800 3,084 2,998 -8,600 -2.8%
6位 6/26 3486 グローバル・リンク・マネジメント 1,838 3,394 3,330 -6,400 -1.9%
7位 12/18 6580 ライトアップ 1,451 1,238 1,177 -6,100 -4.9%
8位 3/19 3922 PR TIMES 1,600 1,946 1,886 -6,000 -3.1%
9位 12/18 7959 オリバー 1,420 1,898 1,841 -5,700 -3.0%
10位 9/27 3446 ジェイテックコーポレーション 1,500 5,596 5,540 -5,600 -1.0%

ワースト案件では惜しくも分売枚数が少ないため7位でしたが、清和中央HDがトップで他に類を見ない酷い案件でした。
というのもこちら、数年前に寄り売りで一撃-14万円という伝説の案件がまさかの再来でどうなると思いきや、予想通りの結果に・・・(詳細が知りたい方は『清和中央HD ~伝説の銘柄は再び伝説となった~』の特集記事をどうぞ)

その後の株価も今まで一度も分売価格を上回ることなく、何故か4,500円近辺でずっと動かない不思議さもあります。
しかし未だにこの分売も前回の結果は調べればすぐ見つかるのに300枚完売というのは驚きました。

第4位のオリバーは名証案件の割には過大な株数だったため想定通りの結果です。
第5位の地域新聞社は仕手株化しているだったため売り物が出やすくハイリスクな案件でした。

その他後半戦は新興市場の市況悪化で枚数の少ない案件でも悪い結果のものも増えました。

これまでの上昇基調の相場からは一転して、2018年後半は厳しい相場展開でした。
さすがのこの状況下となると分売をしたい大株主や市場変更目的といえども大型の分売は減りそうです。
相場の調子の良いときは何でも利益の出た分売でも、しばらくは慎重姿勢で臨みたいものです。

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