清和中央HD ~伝説の銘柄は再び伝説となった~
2018年5月25日、清和中央ホールディングスの立会外分売が発表されました。
分売内容の詳細については分析ページまたは実施IRをご覧ください。
この銘柄、分売経験の長い方なら誰しも名前を聞いただけであの伝説の…と思ったことでしょう。
初めての方向けにも説明しておくと、5年前の2013年12月4日に流動性が著しく乏しい状態で分売を強行し、1単元120万円近くということもあって始値売りで-14万円というとんでもない損失が出た銘柄です。
ちなみにこの損失額は損失率ともに下のランキングのとおり、過去10年ではダブルスコアでぶっちぎりの1位という他を寄せ付けないのが伝説と言われる所以です。(損失率ランキングでも若干顔ぶれは違うながら1位は揺ぎません)
日付 | コード | 銘柄名 | 分売価格 | 始値 | 単元損失 | 損失率 |
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2013/12/04 | 7531 | 清和中央ホールディングス | 11,834 円 | 10,400 円 | -143,400 円 | -12.1 % |
2015/06/24 | 2208 | ブルボン | 1,738 円 | 1,709 円 | -29,000 円 | -1.7 % |
2007/12/05 | 4364 | マナック | 618 円 | 593 円 | -25,000 円 | -4.0 % |
2011/06/23 | 1724 | シンクレイヤ | 339 円 | 319 円 | -20,000 円 | -5.9 % |
2018/03/08 | 4342 | セコム上信越 | 4,018 円 | 3,820 円 | -19,800 円 | -4.9 % |
このときでさえ板もスカスカで明らかな地雷だったにも関わらず、300枚の分売のうち221枚は約定しているのが驚きです。
いったいどんな人がこれに申し込んでいるのかすらまったく理解できません。
まあこれ以前にはここまで酷い案件はなかったので、初モノということで理解できなくはないですが…
さて、ここで改めて今回の2度目の分売を振り返ってみましょう。
分売数量は前回の同じ300枚(3万株)ですが、株価は5,000円台と前回よりは若干お手頃になっています。
これがまた株式分割したのかな?と思いきやそういうわけでもないので、まさかいないとは思いますが前回の分売玉を塩漬けしてる人がいたらそれはそれでご愁傷様ですが。
株価が安くなったから値ごろ感が出てるから流動性は改善してるのかな?とか想像しますが、前回でさえ1日5~10枚程度の最低限の流動性があったところ、まさかの発表日の出来高は0。
それどころか1週間の出来高は僅か1枚と、以前よりも明らかに流動性は低下しているという始末です。
もうこの時点で株価は安くなったとはいえ、前回の二の舞になる展開しか想像できません…
前回が地雷なのにそれより状況が悪くて誰が申し込むんでしょうね。
というかそれ以前に値決め自体ができるんでしょうかこれ?
分売実施の前日になりました。
無事に値決めはできたのでしょうか?
これは分売前日の引けの気配値です。
今じゃ懐かしい大証ヘラクレスの3本値でなくフル板ですよこれ。
しかも当日の出来高は0、つまり終値が存在しないため最終気配値である3営業日前の約定値5,810円が基準となってしまいます。
皆さんはこの状況なら何%の割引率が欲しいですか?
この状況で提示された割引率はいつもどおり3%の5,635円と、まったく誠意の欠片もありません。
せめて買い板を基準としての割引であれば考えられなくもないですが、この気配を見る限りでは買い気配の17%も割高な水準で流動性が絶望的な株を掴まされることになってしまいます。
これがもし割安株だったり高配当だったり優待に魅力があれば話は違ってきますが、PER33.9倍、PBR1.68倍の株価水準、配当利回り0.7%、株主優待はないというのに何ひとつこの株は褒めるところがありません。
出来高がないのはまだしも、この絶望的な買い板の方がよほど心配です。
この状況で最大300枚もの分売玉が降ってきたらいったいどうなってしまうんでしょうか?
さて、分売日当日になりました。
これは板が概ね出揃った8:20頃の気配値です。
買い板もそれなりに厚くなっています。
この気配に釣られて申し込んでしまった方がいるんでしょうか?
ところがこれ、最良気配の1,600株は成行注文です。
しかも大半は8:10過ぎに出てきました。
感の良い方はこの時点で嫌な予感にお気づきだと思います。
これが分売締切時刻を過ぎるとどうなったのでしょうか。
全社の分売締切時刻を過ぎた8:48頃の気配はこちらです。
なんと、あれだけあった成行買いはすっかり消えて僅か200株になって大半は見せ板だったというわけです。
この状況下で分売日当日にこの見せ板を出して得する人物といえば、売出関係者以外にいるんでしょうかね。
分売株の配分直前の買い板がこれで、分売価格を上回る板は僅か5枚。
これはどうみても…酷いことになりそうです。
さて、ここに分売の売り板が降ってきたらどうなるかというと…
これは寄り付き直前の9:59:58の気配です。
いくら分売数量が少なくても、誰しもご想像どおりの結果になります。
わずか10枚程度の成行売りでこうなるから恐ろしいものです。
もし仮にこのまま寄れば一撃マイナス6万円という恐ろしいことに。
株価5,000円以上の更新値幅は100円です。
この分売をもらってしまった方は3分ごとに1万円ずつ損失が増えているのを見ていることしかできません。
そして9:21頃、7回目の特別気配で5,130円の始値を付けました。
結局のところは寄りで即売りした場合の損失はなんと、50,500円と堂々の過去10年で第2位!
前述の始値売りワーストランキングでは1位・2位と同じ銘柄が独占する快挙?となりました。
さすが伝説の銘柄は我々の期待を裏切らない新たな伝説を打ち立ててくれました。
ここはぜひ数年後にまた分売を実施して、ワースト3位まで独占してほしいものです。
そういえばこの分売、どれだけの株数が捌けたんでしょうか?
当日の出来高が63枚なので、いくらなんでも完売はないから100枚くらいかなと思っていたんですが…
約定株数30,000株って…え、まさかの完売!?
いやー、これにはさすがにこの予想外の結果には目を疑うしかありません。
前回の惨状を仮に知らなかったとしても、この気配と分売値から一発でただならぬ案件だとは分かるでしょうに。
最大限考えてみた仮説としては、当日同時にベネフィットジャパンも分売を実施しており、そちらと何かの間違いで申し込んでしまった方が世の中にはいるかもしれません。
もしくは、分売があれば中身も一切見ないでひたすら申し込みをしている層が一定数いるとか。
こんな分売すら完売してしまうようでは、世の中で悪質な分売案件が全然無くならないわけです。
さて、清和中央HDの分売後の値動きはどうなったのでしょうか。
そこには当然ながら見るも無残なチャートだけが残っておりました。
地雷案件の分売を掴まされてしまった側は当然損切りをしようと、買い板に次々売りをぶつけていきます。
よってその結果気配が徐々に下がり、耐えきれなくなった投資家の見切り売りが加速します。
この悪循環で分売後5営業日連続の陰線、ついには1枚10万円の損失銘柄になってしまいました。
これでもまだ分売後には分売数量の半分も出来高がありません。
分売組の投げが完了するまでは当面上値の重い展開が続くことになりそうです。
今回は数年ぶりに見る酷い案件だったので、こうして後世のために記録に残しておきます。
基本的には利益の出る分売も、案件を吟味しないと年間利益が軽く吹っ飛ぶことにもなるいい教訓になる案件でした。
これ以上世の中にクソ分売が出ないことを祈りつつ、今回はこの辺にしておきましょう。