GMOクリックHD ~浮動株の10倍の分売で大暴落~

2015年6月23日、クリック証券で有名なGMOクリックHDの立会外分売実施が発表されました。
分売内容の詳細については分析ページまたは実施IRをご覧ください。

問題は株数がなんと571万株(57,100枚)!売出総額65億円相当は過去10年で一番の規模となります。

分売数量の多かった銘柄といえば健康コーポレーションの616万株(61,600枚)がありますが、こちらは前後の出来高が100万株(1万枚)ほどあったこともあり、予想に反して逆行高の展開となりました。


GMOクリックHD 大株主

ここで浮動株と大株主の状況を見てみましょう。

親会社のGMOインターネットが筆頭株主で98.4%を保有しており、その他大株主を含めると特定株が99.3%となり、浮動株はわずか0.4%しかありません。

四季報によると2015年4月末現在の発行済株式数は11,435万株なので、0.4%の浮動株数はわずか46万株(4,600枚)となります。

ここに浮動株の10倍以上の株券がまとめて降り注ぐことを考えると…結果は皆さんのご想像のとおりです。


GMOクリックHD 2015/06/24 8:45の板

前日終値1,189円から4.04%ディスカウントの分売価格1,141円です。
なかなか4%台のディスカウントは見られるものではないですが、なんとなくの飛びつき買いは禁物です。

分売日当日、2015年6月24日 8:45 の板情報です。

普段は売り・買いともに200枚前後で、出来高も1日100~200枚程度です。
さすがに当日朝は分売の寄り売り狙いの買い需要があるのか、買い板が600枚程度に厚くなっていました。

ついでに8時30分頃までは関係者の仕業かは不明ですが、1万株程度の成行買いの見せ板の出ていたことも記しておきます。

何も知らない人には穏やかな寄り付き前の気配にしか見えないですが…




GMOクリックHD 2015/06/24 9:00の板

8:45頃から分売の配分が各証券会社に行き渡り初め、徐々に売りが出始めてきたかと思ったら、既に8:50には分売価格割れになっていました。

8:50頃からは怒涛の勢いで売り板が見る見るうちに分厚くなり1,100をあっさり陥落、9:00の寄り付き間際の合致点は1,043円でした。

もちろんそんなところで売り注文が止まるわけでもなく、9:05頃が一番売り注文のピークで、その時の板がこちらです。

買い注文が増えなければなんと最悪ストップ安張り付きの刑の可能性も…

特別気配で徐々に値を切り下げていき、結局寄ったのは9:12で1,039円、20万株(2,065枚)の売買成立でした。

即売り利益-8.9%というのは、過去10年で歴代2位のワースト記録です。

当日は一気に下げ過ぎなせいもあり、寄り底で始値が安値となり、当日終値は1,070円、出来高83万株(8,297枚)となりました。
これでもまだ1/6しか出来高捌けてません。



さて、最終的に571万株の分売は売り切れたのでしょうか。10:00に開示された分売終了IRを見てみましょう。

実施予定株数571万株すら申込がなく、522万株の注文成立ということは、いわゆる売れ残りですね。
分売申込をした人には申込株数に関わらず、1枚につき1万円超の損失を見事な全員プレゼントとなったことでしょう。


これで終わらないのが今回の分売、売主は親会社のGMOインターネットということお忘れなく。
子会社株式を売却したわけですから、関係会社株式売却益が必然的に生じることとなります。

当日の15:00に予想どおりGMOインターネットから「連結子会社(GMOクリックホールディングス株式会社)株式の一部売却(立会外分売)による特別利益発生に関するお知らせ」のIRが出ました。

(連結) 関係会社株式売却益 約47億円 ということで、成立した売出総額59億円のうちほどんどは親会社の利益になっているということがわかります。

その裏で損しているのが個人株主で、割高な価格で分売を掴まされ、見事に株主がお財布にされたのが今回の分売でした。


今回は分売発表と同時に6月権利の株主優待も同時に新設する発表がされていました。

優待目的で分売に参加した人など含めて、全株主に「モウカレーうどん」プレゼントというのもなんとも皮肉な話ですね。
つまりこれは、GMOグループがモウカレーということだったのでしょう。


日中足

GMOクリックHD 日中足

日足

GMOクリックHD 日足
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